週末おふろぐ

休みの日にお風呂に行った備忘録。

#26 花粉舞い散る中に忘れた記憶と

大黒湯

(中野区)


時節柄、日曜の午後なのに街を歩く人の数は少ない。一方、サウナはいつもと変わらず人が溢れている。

 

新中野駅から徒歩10分。住宅街にふと現れる「サウナ」の看板。外観は銭湯らしくないが、下駄箱はしっかり銭湯タイプ。雛祭りなので33番に靴をしまう。


脱衣場は広く、外にはベンチが置かれたベランダのようなスペースがある。ここで外気浴をしようと決めた。
浴室に入るとすぐに浴槽が4つ。どれもバイブラ付きの熱湯だが、奥の2つはマッサージジェットと座湯になっている。温度は44°Cと熱めだ。


サウナは階段を登った2階にある。滑って転ばないようにしっかりと手すりにつかまりながら歩いた先に現れたのは小さめの水風呂とシャワー。その向かいにサウナ室の入り口がある。中に入ると、両脇にマツコデラックス並みの大柄なおじさまと武藤敬司の様に屈強なおじさまが陣取っている。室内は6人入るかどうかの狭さだった。時計はなく、タイミングは己の体内に任せる。しばらくすると、稀勢の里を彷彿させる肉体のおじさまが来た。心なしか、温度計より温度が高く感じた。


サウナ室を出て水風呂へ。冷たすぎずちょうど良い。ゆっくりと階段を降り、さっき見つけた外気浴スペースへ向かう。引き戸を開けてベンチに腰を下ろし一息つく、、、灰皿さえ無ければ、最高なんだけどなぁとボソッと呟いた。ウィスパー

 

2020.3

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#25 オープン銭

はすぬま温泉 

大田区

 

打席に入った高橋由伸似の青年に、黄色い歓声を送る女子5人。モニターに写る投手映像は藤浪晋太郎。蒲田のバッティングセンターにいながら、伝統の一戦気分を味わえた。私は2打席に立ち、ヒット性の当たりは数本。オープン戦とはいえ開幕戦に向けての調整不足が否めない。


などと妄想をしながら住宅街を抜けると現れたのが「はすぬま温泉」。銭湯のような出立だが、お湯は掛け流しの温泉。実は大田区は都内有数の温泉地でもある。


ロビーの足元には、池で泳ぐ魚を覗ける小窓があり子どもたちは興味津々。清潔で新しめな内装ながらも、どこか懐かしさを感じる。脱衣所で服を脱ぎ、浴場へ入ると壁一面に色とりどりな絵が描かれている。正面には山奥から流れ落ちる滝の絵。実際、絵の下部がお湯の出口になっていて源泉が湧き出ている。反対には立山連峰北アルプスか。白山がそびえ立つ。洗い場の鏡の上には屏風に描かれたような和テイストなイラスト。日本庭園の四季だろうか。とにかくカラフルな絵が目を楽しませる。


お湯は熱湯、炭酸泉、水風呂の3つ。湯温は40°C前後と銭湯の中ではかなり控えめ。じっくり入っていられるのでこれくらいの方が好きだ、愛してる。水風呂も20°Cと優しい設定。子どもやお年寄りでも安心して交代浴が楽しめる。


サウナは綺麗な乾式。テレビはなく、ジー、パチパチとストーブの音に耳を澄ます。カントリーロード、このみーちー、ずぅっと〜 は耳をすませば

 

2020.2

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#24 アツアツのアワ

駒の湯

(世田谷区)


新型ウイルスが流行り、在宅ワークを勧めている企業もあるらしい。といっても東急田園都市線の帰宅ラッシュはいつも通りギュウギュウ。2駅8分だけ我慢したら三軒茶屋駅に着いた。大通りから少し外れたアーケード街をまっすぐ歩き、細い路地を曲がるとマンションの1階が銭湯になった「駒の湯」が現れた。


番台でサウナセットを受け取り脱衣所へ。仕事帰りのお兄さまおじさまで混み具合はピーク。火照った裸の男たちが浴槽の淵や椅子で休憩している様は、まるで神社の狛犬のようだ。私は彼らを横目に熱々の風呂へ入る。コポコポコポと泡立ちがよい。何か泡の立つ薬剤を混ぜているのではないかと思うくらい泡の粘りが強い。おまけにマッサージジェットが4人分設置されおり、泡の醸成を促進させている。


洗い場は泡で出てくるシャンプーとボディソープが備え付けられていた。


サウナは小さな入口からは想像出来ない奥行きがある。上下で最大8人は座れるだろうか。耳をすますと演歌が流れている。代々木上原の大黒湯を思い出した。室温は90°Cくらいだが、狭い密室での上段となると体感100°Cを超える。


そして水風呂へ。アルファベット「L」型の浴槽へ足を入れる。「キーーーーーンおおおおおおおおおおづめだぁぁああい」久々にヤバイ水風呂に出会った。水温計は18°Cを指しているが絶対にそんな事はない。体感14°Cを下回る冷たさ。羽衣を纏う前に冷たさに耐えられず外へ出てしまった。体を拭くと心臓がバクバクととんでもない速さで鼓動を打つ。「な、なんだ体が熱い、、ドキドキする‥」

銭湯サウナに、恋をした。きゅん

 

2020.2

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#23 アクア団

アクア東中野

(中野区)


スキー場へ行くため、新宿深夜発の夜行バスに乗る。その前に東中野駅から徒歩3分、アクア東中野で一汗流す。寝付きの悪い夜行バスでも良質な睡眠をえるためにサウナは欠かせない。


フロントでタオルと鍵をもらい、脱衣所へ。明るく広々としている。浴場内は熱湯と炭酸泉と水風呂。熱湯はバイブラが沸き立つ寝湯とマッサージジェットが付いた所もある。軟水なのでサラサラと水の感触が柔らかい。グツグツとマグマのような音を立てるその様子は、ポケモンに例えるとグラードン。炭酸泉はやはりぬるめで長く浸かっていられる。水風呂は広く、6人入っても狭くない。シャンプーとボディソープは備え付けで嬉しい。


サウナは広々と上下8人は座れる木造の椅子。100°Cを超えるなかなかの熱さ。テレビでは東大生のクイズバトルをやっていた。4人組で来ていた若者の1人が「勝負しようぜ」と友人に対決を仕掛けるも、とても東大生レベルのクイズには太刀打ちできず、サウナ内に微妙な空気が流れた。冷や汗も汗もかいてしまえば同じである。


そして本日のメインディッシュ、露天にある全長7メートル幅2メートルくらいのプール。水温は16°Cで火照った身体を思いっきり水に沈める、精神を静める。

 

息を吸うと肺が浮かぶ、全身から力が抜けて水と一体化する。そう、アクア東中野の「アクア」とはコレのことだ。ポケモンでいうとカイオーガになった。さらに、脇には露天風呂。適度に外気に当たりながらじっくりと快感に浸った。


浴場から出ると、毎度20円を入れてドライヤーを使う。ブヲオオオオオオと風力が強い。ポケモンに例えるならレックウザ。空と陸と海。アクア東中野を一言で例えるなら「地球」なのかもしれない。

 

2020.2

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#22 おばちゃん

上越

(中野区)


水槽がある銭湯は珍しい。金魚たちは呼吸をしているのかお腹が空いているのか、口をパクパクしている。番台のおばあちゃんはアイスをパクパク食べていた。今日は冬なのに18°Cもある春みたいな気候だった。


大学3年の夏、友だちが住む高円寺の家に2週間ほど居候していた。そのとき小杉湯、なみの湯、上越泉の3つに毎晩通っていた。銭湯好きになった由縁のひとつでもある。上越泉はとにかく番台のおばあちゃんが優しい。「ご飯はこれからですかい」「今日は暑いね」などとにかく誰にでも話す。通いつめた友人は、高円寺の母と慕っているほどだ。そんな実家のばあちゃんのような番台さんと風呂上がりにアイスを食べるのもいいかもしれない。


さて本題の浴場。内湯はポコポコとバイブラが心地よい熱湯と17°Cの水風呂。洗い場の脇に置かれた観葉植物のヤシの木と壁の水色が相まって、開放感が気持ちいい。外には小さな露天風呂。ナノバブルを使ったきめ細かな泡風呂で湯が白く濁っている。炭酸泉ともバイブラとも違う、滑らかな湯が肌を優しく包み込む。


サウナは上下4人座れるかどうかの小部屋で100°Cと熱め。テレビも時計も無いが、ラジオが流れている。この日はバレンタインデー前日ということで、ひたすらチョコがなんたらかんたらという企画をやっていた。じっくり汗をかきながら聴覚で気を紛らわせるラジオサウナは意外と珍しいかもしれない。


サウナにハマってからは久々に訪れた上越泉。あの頃通い慣れた場所も、しばらくたってまた行ってみると、新しい発見があるのかもしれない。

 

2020.2

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#21 すきま産業

八幡湯

(世田谷区)

 

初詣から一ヶ月も経つと神社も落ち着いている。だが私の心は落ち着いていなかった。何故なら、親知らずを抜歯したため、数日間銭湯に行くことを禁じられていたからだ。バキバキになってしまった身体をじっくりと解すため、下高井戸駅から東急世田谷線に乗った。

世田谷線は、閑静な住宅街を縫って走る小さな電車。終点、三軒茶屋駅のひとつ前「西太子堂駅」で降りる。駅名どおりの神社の脇に八幡湯はあった。

「男舞(おとこまい)」と「夢女(ゆめ)」という入り口が2つ。何か意味がありそうだ。浴場内は浴槽が3つ。熱湯と薬湯は温度が45°Cと灼熱の熱さ。一方水風呂は19°Cとやさしい。交互に入るくらいが丁度良い。壁には富士山ではなく、青木ヶ原樹海のように大量の木が描かれている。そこには店主直筆の注意書きの紙が貼られていた。
「体を洗って入りましょう特にお尻。他人のケツは汚い」 経営者の尻に対する怨念を感じた。

サウナは115°Cとかなり熱い。入ってすぐにプツプツと汗が出てくる。8分も入れば完全に茹で上がる。サウナを出て水風呂へ入ったら脱衣所へ。なんとここには「サウナ休憩用」と書かれたベンチ。腰をかけてふと、右を向くと引き戸がある。すこーし戸を開け、すきま風を入れてあげると、いやん不思議。中にいるのに外気浴。すきま産業発見である。

今、1万円が空から降ってきたら、良質な睡眠を促すオーダーメイドのマクラが欲しいと切に願う。

 

2020.2

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#20 寒暖差

大黒湯

(杉並区)

 

東京に"大黒湯"はいくつあるのだろう。
代々木、千住、押上、どの浴場も特にお湯が黒いわけではないのに。引っ越して丸一年、我が家から自転車で10分のところにもついに発見した。

入り口の脇には年季の入ったコインランドリーがある。近くにある明治大学東放学園の学生だろうか、若者が洗濯待ちをしていた。番台には強面の親父さん。話し声はやさしい。申し訳程度のサウナもあって、プラス50円で入れる。なお、水風呂はない。悩んだが470円プラス50円払った。吉野家の牛丼大盛りのところを並盛りにすれば元は取れる。

広めの脱衣場には自分1人。洗い場はおじさん、湯船にもおじさんがひとりずついた。現在18:00。この時間に空いていると経営が心配になる。イスと桶を持って鏡の前に座りカランをひねる。「熱っ!!」となるのが普通の銭湯だが、ここでは思わず「ぬるっ!」といってしまった。40°Cに満たない適度な温もりのお湯で身体を洗い、湯船へ。

下からぽこぽこと小さな気泡が湧いている。炭酸泉とまではいかないが、心なしかパチパチと体に泡が弾けていくのがわかる。湯温もそこまで熱くなく、じっくりと肩まで浸かっていられた。

さて、身体が温まり向かうところは浴場内の隅にこじんまり設置されたサウナ。
扉を開くとモワっと蒸気が顔にかかる。なんとミストサウナだ。「湯を沸かすボイラー熱いし、そのまま囲ってサウナにしちゃおう」というまさに"パラサイト"なサウナだった。温度もあまり高くはなく、じっくり15分も入っていられた。

 

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