週末おふろぐ

休みの日にお風呂に行った備忘録。

#29 自然回帰

#68 小杉湯

(杉並区)


高円寺といえばこの銭湯。ここまで人気、知名度がある理由は何なのだろうか。3年前の夏、高円寺の友人宅に泊まったときに1度訪れたことがあるが、物心(ものごころ)ならぬ風呂心(ふろごころ)ついてから行くのは初めてだ。


駅の北口を出て歩くこと10分弱。コインランドリーの前の細い路地に自転車がびっしりと止まっている。入り口だけでも盛況ぶりが伺える。暖簾を潜るとイラストやらポスターが貼られていて、黒板にも何やらメッセージが書かれている。この銭湯、かなり情報量が多い。


入浴料を払って無料のハンドタオルを受け取る。独自の洗濯方法で肌触りの良い仕上がりにしている、と説明書きがあった。


脱衣所は水曜15時とは思えない混み具合。ロッカーや壁のあらゆるところに貼られた注意書きが楽しい。「銭湯の入り方」「ロッカーは1人ひとつ」「タオルは独自の製法で洗濯」など手書きのイラストで説明していてかわいらしい。洗面所のアメニティの充実ぶりがすばらしい。ドライヤーの風量は抜群、乳液、ローション、シェービングクリーム、綿棒、ティッシュなど。全てに注意書きイラストが書かれていて、愛を感じる。隅には「アイスが入ってます」という小さな冷凍庫。中にはチョコアイスが入っていた。風呂にまだ入っていないのに、とにかく情報量が多くて楽しい。


浴場内は白で統一されたとても明るい空間。時刻が15時ということもあり、天窓から日差しが降り注いでさらに明るい。備え付けのジャンプー、ボディーソープ、トリートメント、洗顔フォームの4つは店主こだわりの品と書かれている。洗い場は全部で20箇所ほどで立ちシャワーが3つと腰が悪い人でも座りやすい高さの洗い場が2つ。決して広いとはいえない場内を巧みに利用した空間造り。アメニティと客の多さを感じさせないくらい、かなり掃除が行き届いている。これはスタッフの努力もあるが、綺麗なものは綺麗に使おうとする客の民度の高さも伺える。


さあいよいよ浴槽。まずはマッサージ風呂へ。立って入るタイプで深さは140センチくらいはありそう。背中をほぐすジェットと上半身を数カ所からほぐすジェットのもの、さらに首から足の裏まで全身をほぐすジェットの3つの機能が1つの浴槽に収まっている。湯温は43°Cと熱い。


次に向かったのは水風呂。17°Cくらいのちょうど良い温度。「自然回帰水」という謎の軟水が湧き出ている。あとでロビーで飲めるらしい。阿佐ヶ谷の「波動水」が頭をよぎった。


熱湯→水風呂のあとは椅子に座って休憩。プール終わりの5時限目を思い出す。


次は「日替わり湯」。今日は生薬湯で漢方が体を温める。ここの湯温は45°Cとかなり熱い。床から湧き出るバイブラもあって一瞬で身体が温まる。この日替わり湯はそんじょそこらの日替わり湯とは力の入れ具合が違う。ゆず・よもぎなど定番のものはもちろん、ビール・ワイン、ココナッツオイルなど本当に毎日違った湯なのだ。


また水風呂と休憩を介して、最後は「ミルク風呂」。温度は40°Cとやさしめ。色が白いだけでなく、本物のミルクのようなかすかに甘い匂いがする。この浴槽にはなんと岩盤浴で使うマグネシウムなどが壁に敷き詰められている。風呂にいながら岩盤浴の効果も楽しめるのだ。


最後に水風呂でキュッと体をしめる。サウナや交代浴後は、防水スプレーをかけたかのように全身の水分の落ちがいい。手で払うだけで水気が飛び、借りたハンドタオルで拭くと、あとはすぐに乾いてしまうためバスタオルがいらない。


着替えてロビーで自然回帰水を飲みながら、壁沿いに並べられた漫画を眺める。サ道、昼のセント酒など銭湯、サウナ系の読み物が一番上に作者のサイン色紙とともに置かれている。色紙の量が小杉湯の人気の高さを表していた。

 

小杉湯、個人的おすすめポイントは3つ。
「交代浴で整える最強スポット」
「何度来ても飽きない浴槽」
「スタッフの熱を感じる貼り紙の情報量」
最高でした。

 

2020.3

小杉湯 公式ウェブサイト

 

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