#8 ほっくほく
新寿湯
(世田谷区)
新代田駅から下北沢駅へ行く手前の曲がり角に「ゆ」の看板。
解放された玄関からすでに男と女が分かれている。靴を入れ、扉を開けるとその理由が分かった。玄関からすぐ脱衣所なのだ。つまり受付や休憩スペースと呼ばれるところがなく、玄関の次はいきなり脱衣所。男女の壁の境目に番台があり、妙齢の女性が座っていた。
入浴料を払うと、タオルを貸してくれた。使い古されつつも、綺麗なタオル。
浴場内は洗い場がざっと15ほど。
奥には大きな湯船が1つ、ブクブクと泡を立てていた。
体を洗って湯船に足をつける。
熱めだが、寒夜にはこれくらいの温度が丁度良い。端にはマッサージジェットが出る穴がが3つ。毎度銭湯のジェットの水圧は勢いが強い。隅には網袋に入れられた備長炭がぷかぷか浮いている。心なしかお湯からなんともいえない独特な癒しの匂いがした。あとで調べたが、薪を燃やして沸かしたお湯は、ガスや電気で沸かしたお湯よりも保温性が高くていい香りがするらしい。
風呂がひとつしかないので滞在時間は15分ほどだった。世はクリスマスが近い。
2019.12