#25 オープン銭
はすぬま温泉
(大田区)
打席に入った高橋由伸似の青年に、黄色い歓声を送る女子5人。モニターに写る投手映像は藤浪晋太郎。蒲田のバッティングセンターにいながら、伝統の一戦気分を味わえた。私は2打席に立ち、ヒット性の当たりは数本。オープン戦とはいえ開幕戦に向けての調整不足が否めない。
などと妄想をしながら住宅街を抜けると現れたのが「はすぬま温泉」。銭湯のような出立だが、お湯は掛け流しの温泉。実は大田区は都内有数の温泉地でもある。
ロビーの足元には、池で泳ぐ魚を覗ける小窓があり子どもたちは興味津々。清潔で新しめな内装ながらも、どこか懐かしさを感じる。脱衣所で服を脱ぎ、浴場へ入ると壁一面に色とりどりな絵が描かれている。正面には山奥から流れ落ちる滝の絵。実際、絵の下部がお湯の出口になっていて源泉が湧き出ている。反対には立山連峰か北アルプスか。白山がそびえ立つ。洗い場の鏡の上には屏風に描かれたような和テイストなイラスト。日本庭園の四季だろうか。とにかくカラフルな絵が目を楽しませる。
お湯は熱湯、炭酸泉、水風呂の3つ。湯温は40°C前後と銭湯の中ではかなり控えめ。じっくり入っていられるのでこれくらいの方が好きだ、愛してる。水風呂も20°Cと優しい設定。子どもやお年寄りでも安心して交代浴が楽しめる。
サウナは綺麗な乾式。テレビはなく、ジー、パチパチとストーブの音に耳を澄ます。カントリーロード、このみーちー、ずぅっと〜 は耳をすませば。
2020.2