週末おふろぐ

休みの日にお風呂に行った備忘録。

#21 すきま産業

八幡湯

(世田谷区)

 

初詣から一ヶ月も経つと神社も落ち着いている。だが私の心は落ち着いていなかった。何故なら、親知らずを抜歯したため、数日間銭湯に行くことを禁じられていたからだ。バキバキになってしまった身体をじっくりと解すため、下高井戸駅から東急世田谷線に乗った。

世田谷線は、閑静な住宅街を縫って走る小さな電車。終点、三軒茶屋駅のひとつ前「西太子堂駅」で降りる。駅名どおりの神社の脇に八幡湯はあった。

「男舞(おとこまい)」と「夢女(ゆめ)」という入り口が2つ。何か意味がありそうだ。浴場内は浴槽が3つ。熱湯と薬湯は温度が45°Cと灼熱の熱さ。一方水風呂は19°Cとやさしい。交互に入るくらいが丁度良い。壁には富士山ではなく、青木ヶ原樹海のように大量の木が描かれている。そこには店主直筆の注意書きの紙が貼られていた。
「体を洗って入りましょう特にお尻。他人のケツは汚い」 経営者の尻に対する怨念を感じた。

サウナは115°Cとかなり熱い。入ってすぐにプツプツと汗が出てくる。8分も入れば完全に茹で上がる。サウナを出て水風呂へ入ったら脱衣所へ。なんとここには「サウナ休憩用」と書かれたベンチ。腰をかけてふと、右を向くと引き戸がある。すこーし戸を開け、すきま風を入れてあげると、いやん不思議。中にいるのに外気浴。すきま産業発見である。

今、1万円が空から降ってきたら、良質な睡眠を促すオーダーメイドのマクラが欲しいと切に願う。

 

2020.2

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