#5 銭湯バッター
富士見湯
（昭島市）
カキーン。
「7点目が入ってコールドゲームセット。低めのチェンジアップ（スローボール）を完璧に捉えられ、サヨナラ負けー」
朝9時過ぎ、狛江の多摩川河川敷グラウンドで私たちは1-7で敗れた。レフトの守備から途中出場し足がもつれ転倒。4回裏からリリーフ登板しツーシームとチェンジアップを駆使し三者凡退で抑える。5回表にチーム唯一の得点となるタイムリーツーベースを放つも、その裏にホームラン含む5失点の大乱調。友だちの先輩のチームで助っ人としての出場だったが、試合後正式に入団が決まった。
日曜の朝からゆるーい草野球をしても、まだ10時過ぎ。早起きした1日は長い。
お昼に吉祥寺で一番うまいと言われる家系ラーメンを食べたあと、中央線特快青梅行きに乗り昭島市へ向かった。
東中神駅周辺は住宅地や学校や病院。これといってなにもない。のんびりとした郊外の町といった第一印象。その一角に現れたのが「富士見湯」。全国にいったいいくつもの「富士見」なる場所があるんだろうかと気になる。
古めの外観とは一転、中は今風のおしゃれな木造ゲストハウスのような感じ。じっさい900円で泊まることもできるんだとか。脱衣所もリフォームされており、インスタグラマーが好みそうな木の温もりを感じる内装だ。
しかし浴場の扉を開けた瞬間、40年タイムスリップした。タイル張りの床に、年季の入った風呂と洗い場。シャンプーとボディソープは設置されている。壁には何故か猫、亀、金魚、ウサギ、ポメラニアンの絵が描かれていた。
風呂の種類は豊富。低温、中温、高温、寝湯、露天風、水風呂。そしてカラフルなゴムボールが大量に浮かんでいる風呂。子ども用だろうか。
サウナはなんとなんと無料。しかも作りはしっかりしているので、460円でこれだけの設備を満喫できるのはなかなかないだろう。西東京に住む人にはぜひ教えたい穴場ととのいスポットであった。
さて、着替えるかとロッカーを開けて気づいた。パンツや靴下の入った袋を電車のラックに起き忘れてしまった。急いで連絡したら、青梅駅にあるとのこと。
往復してまた立川まで戻ってくるらしい。ＪＲさん、ありがとう。
2019．10
